HSPの臨床医 長沼睦雄先生による『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』を買ったので、
HSP当事者ブロガーがレビューします。
5人に1人存在すると言われるHSP。
著者の長沼先生は、精神科医として長年HSPの研究を行い、
医療の現場で多くのHSPの診療に携わった経験をベースにしながら、この本を書き上げました。
今回は『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』について、
その概要、読んだ感想、心に残ったエピソードとともに、この本の魅力を紹介していきます。
▼HSPのおすすめ本10冊をまとめた記事でも紹介しています!
目次
HSPの専門医 長沼睦雄ってどんな人?
著者の長沼睦雄(むつお)先生は、北海道の病院で院長をしている精神科医です。
精神医療の現場で長年、障害児・小児・成人の診療をしてきて
独自にHSPについての研究を進めてこられたようです。
現在は、北海道で院長として開業し、HSP診療を中心に、薬に頼らない脳と心と身体の統合的治療を目指して活動されています。
この本を知った経緯
僕は書店の心理学コーナーで、この本をたまたま見つけました。
パラパラっとページをめくってみて、お医者さんが書いた本なのに、
イラストも豊富で読みやすそうだな、というのが第一印象。
内容は、HSPが抱えやすい悩みとその対処法がたくさん紹介されていて
情報の充実さに惹かれて購入しました。
長沼先生のHSP本の概要を簡単に!
HSPに精通した医師の知識と経験が凝縮
「HSPの生きづらさをラクにする」ために、
本書の中で精神医学・心理学・脳科学・スピリチュアルまで、幅広い知識が総動員されているのが特徴です。
1章で、HSPに共通する特徴や診断チェックなど基本的な内容を学ぶことができ、
2章以降は、HSPが陥りやすい悩みを57個のテーマに分けて、網羅するように説明されています。
精神科医による納得感のあるアドバイス
1996年にアーロン博士が生み出した「HSP」という概念は、『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』にまとめられ、世界中に広まっていきましたが、
日本ではまだまだ心の専門家でさえ理解が不十分だと言われています。
そもそも、HSPというのは心理学分野であり、医学の世界のお医者さんは知らなくてもいい知識なのかもしれません。
この現状に問題意識を持つ著者は、関わってきたHSPに対して、むやみに薬に頼らず、総合的なアプローチで生きづらさをラクにする方法を提案しています。
本を読むことで「長沼先生から、HSPの悩みに有効な解決策を教えてもらえる」、そんな感覚で読み進めるといいかもしれません。
この本を読むメリットは?
分野を越えた幅広い知識やノウハウが学べる
HSPの情報だけでなく、HSPに役立つ幅広い分野の知識がたくさん紹介されています。
<紹介されている幅広い分野の知識>
HSP・HSS・神経科学・ユング心理学・脳科学・スピリチュアル・愛着障害・AC・トラウマ・フラッシュバック・抑うつ・解離・発達障害(神経発達症)・睡眠障害・化学物質過敏症・電磁波・ヨガ・瞑想・マインドフルネス・タイムアウト法・アンガーマネジメント…etc
HSPの本を既に数冊読んだという人も、きっと新しい発見に出会えるはずです。
HSPの悩みが網羅されている
HSPの生きづらさは、家庭・仕事・恋愛・食生活・人間関係などあらゆる場面で表れます。
HSPの診療をベースにしているため、HSPが陥りやすい問題やトラブルを、ケース別に網羅されています。
自分の生きづらさを上手く言葉にできない人も、本のエピソードを通して悩みや問題に気づけるかもしれません。
過去の自分の人生を振り返ったり、今後の方向性を考える手助けにもなるでしょう。
イラスト付きで読みやすい
数ページごとにかわいいイラストを挿入されているので、頭の整理や、理解の助けに役立ちます。
お医者さんの本ですが、難しい言い回しは極力さけられており、文章の読みやすさも好印象でした。
最後まで安心して読める
著者の考えの根本には「HSPは気質だから変えずに、活かそう」という一貫した姿勢があります。
HSPの知識が十分でない本では「こうすれば克服できる」とか「繊細さは変えられる」という主張があったりして、戸惑うこともありますが、
この本は、最後まで安心して読み進めることができました。
人には皆、個性や得意・不得意があり、良し・悪しがあるわけではないということです。
HSPは克服しなくていい。あなたの気質に合わせましょう。
個人差がある内容も
HSPは運動が苦手な印象がある、と言っていますが
おそらく人によって個人差があるのかなと思います。
僕個人は、体育会系では生きていけませんけどね。
ただ、本に書いている「一人でマイペースで取り組める運動がおすすめ」というのはとても分かります。
ちょっとだけ遊び心のある内容も
200ページ以上あるうちのほんの2~3ページだけですが、
「カタカムナ理論」や「トーラス構造」について触れられています。
少し調べただけなのですが、どちらもまだ謎の多いお話のようです。
カタカムナ文書
縄文時代以前に書かれた謎の古文書で、宇宙の成り立ちや時の流れの意味を解き明かしているらしい。
※この古文書が見つかったと言われる場所は、偶然にも僕の住んでいる近所の山だったそうです。笑
トーラス構造
物質世界でエネルギーを生み出す基本構造らしい。
この数ページは好みが分かれるかもですが、僕個人的としては、頭のリフレッシュになって楽しかったです。
知識が豊富すぎて、一度で理解が追いつかないかも
幅広くHSPの問題を網羅している上に、
紹介される概念も他分野に渡っているので、本の内容の全てを一度に理解するのは結構大変です。
人によっては、すぐには理解が追いつかないかもしれません。
じっくり、楽しく、読んでいくと良いでしょう。
深く苦しむHSPの人に読んでほしい
長沼先生は、病院にやってくるレベルで苦しんでいるHSPの人達の
悩みや生きづらさに寄り添ってきました。
HSPという言葉にたどりつく時点で、相当苦しんでいる人が大半だとも思います。
HSPの知識と臨床経験、精神科医としての説得力があるので、
読んでいて安心できるし、納得感がありました。
心に響いた言葉
では、この本を読んで心に残った言葉を、ほんの一部ですが紹介したいと思います。
<HSPがラクに生きるための3か条>
1.自分が何に敏感すぎるのかを知る
2.自分を認める心構えや覚悟を持つ
3.自分を守るために対応法を身につける
自分の境界線を厚くしただけでは自分を保つには不十分で、もうひとつ大切なことは自分の中にぶれない「心の軸」(自分軸)を持つことです。
『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』P101
自分を責めたり、悩んだり、諦めたり、相手を責めたり、承認を求めたりしているうちは、自分を幸せにはできません。
自分のパターンに気がついて、悲しみや恐れ、怒りの感情の奥にある心の叫びをだしてしまうとラクに生きられるのです。
HSPにとっては、まずは自分を大切にすることが仕事であることを忘れないでください。
人を助けることも重要ですが、あなた自身も大切にされるべき存在なのです。
『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』P164
まとめ
長沼先生の『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』、
一言で表現するなら、
「HSPが読めばきっと新しい発見に出会える本」
という感じです。
こんな人には特におすすめです。
- HSPに役立つ幅広い知識を学びたい人
- HSPが抱える悩みについての対処法をたくさん知りたい人
- 精神科医の視点で書かれたHSP本を読んでみたい人
- 非HSPでHSPを客観的な視点から学びたい人
HSPの生きづらさをラクにする知識やノウハウがたくさん詰まっているので、
新しい発見に出会いたい人には、とってもおすすめです。